ホーエンベルクは、ドイツ東部のチェコとの国境近くにあります。豊かな緑と名水に恵まれ、ワーグナーが建設した祝祭歌劇場のあるバイロイトからも近く、自然と歴史・文化を誇る小さな街です。
1928年に現在のチェコ(当時ドイツ領)で織物の工房をスタートさせたエルンスト・フェイラーは、ババリヤ地方の伝統工芸の織物シュニール織に着想を得て、創意工夫を重ねます。そして20年後の1948年、戦後移住したドイツ・ホーエンベルクにて独自の技法による織物を完成させて、シュニール織のブランド「フェイラー」を創業しました。
現オーナーであるタグマー・シュベートは、「フェイラー創業の地LIBA(リヴァー)は、ここから5kmほど離れた国境の向こうにありました。戦争が終わり、創業者である祖父は、家族とともに夜闇の中、国境を越えてホーエンベルクにやってきました。祖父と祖母、父と母、弟とつないできたフェイラーの歴史は、私たち家族と社員の歴史でもあります。今、この会社がたくさんの家族で成り立っているのが私の喜びです。」と語ってくれました。
シュニール(Chenille)とは、フランス語で「(蚕などの)いも虫」の意味で、プクプクとした質感がシュニール織に使われるモールヤーン(モール糸)に似ていることから、そう呼ばれるようになったといわれています。
フェイラーのシュニール織の特長は、触れるだけで気持ちが和らぐような、柔らかで厚みのある質感。さらに、優れた吸水・乾燥性、使うほどに肌になじみ、長持ちする風合い。このクオリティを守るためにフェイラーでは、高品質の原綿にこだわり、熟練の職人が操る織機で、何十もの工程を経て丁寧に織り上げています。
また、最大の魅力といえるのが、美しい発色と、ひと柄ひと柄に薫り高い文化やストーリーを織り込んだ表裏一体のデザインの奥深さです。フェイラーでは、染色された糸を約130色保有しています。さらに、1つの柄につき最大18色まで使用できるので、繊細なデザインや微妙なグラデーションなど、色鮮やかで豊かな表現が可能となるのです。現在は、ハンカチやタオル、インテリアクロスをはじめ、軽くてファッション性の高いバッグ、クッション、エプロン、ポーチ、メガネケースなどの小物まで幅広いラインナップを展開。シュニール織を代表するライフスタイルブランドになっています。
フェイラーのシュニール織は綿100%。綿の品質は気候に左右されるため、あえて原産地を限定せず、すべての糸は繊維製品の国際的安全基準を満たしたエクテックス認証企業から買い付けています。フェイラーのシュニール織はお客様の肌に直接触れるため、原糸の購入時より品質に十分注意を払い精錬された綿花で生産させた高品質の材料を星しています。フェイラーが厳選した紡績工場や生産工場の製品はOEKO-TEX STANSARD 100※の最も厳しい基準であるClassTを取得しており、36か月までの乳幼児、幼児期に触れる繊維製品に求められる安全性の規制値基準をクリアしています。フェイラーは徹底した品質管理のもと、お客様の肌にも環境にも優しい製品を提供しています。
※OEKO-TEX STANDARD 100とは、欧州を中心に世界24カ国の試験研究機関で構成するエコテックス国際共同体(事務局:スイス)が定めた、繊維製品に対する国際的な安全基準です。
製品に含まれる可能性のある有害物質を自主規制し、安全性を認証するものです。
エコテックスの認証を受けた製品は、人体に対して有害もしくは有害と考えられている化学物質が含まれていないことが確認されています。エコテックス認証は、製品分類(ClassT~W)によって安全性のレベルが変わります。乳幼児のように肌が敏感であったり、肌との接触が大きくなるほど、規制値の基準は厳しくなります。
スピンが加えられる前のモールヤーン(モール糸)は長さ3.5mmの房状の束となっており、4本の芯糸でしっかりと固定されています。
フェイラーのシュニール織は、綿100%の繊維で、高速スピンが加えられた房状の綿糸の束がモールヤーンとなってシュニールの表面を柔らかくしています。
フェイラーのシュニール織は丈夫で柔らかいその構造から、洗濯を繰り返すことでさらに吸水性、速乾性が増します。モールヤーンが両面にあたるため繰り返し洗っても固くなりにくく、柔らかい肌触りになります。
フェイラーのシュニール織は再織※という方法であらかじめ染色した繊維がしっかりと織り込まれています。よって美しい色彩が長時間継続し、洗濯による退色がしにくいのです。糸抜けも発生しにくく、型くずれもしません。
フェイラーのシュニール織は420g/u。見た目はふんわり、ふっくらしているのにとても軽いのが特長です。この軽さと生地の丈夫さが、バッグやポーチの使いやすさにつながり、長く愛される製品の魅力となっています。
下絵は1ピクセル1色が集まって構成されています。
約130色の中から使用する糸を選びます。糸は上質な綿100%です。
シュニールの横糸となるモールヤーン(モール糸)を作るために平織をします。
一度平織りした布を裁断します。裁断を繰り返し、徐々に細くして糸状にします。
裁断した糸に高速スピンで撚りをかけて毛羽を立てます。シュニール織の柔らかさと吸水性の鍵です。
モールヤーンを横糸にして再び織ります。デザインの全体像が見えてきます。
シュニール織の完成です。
ハンカチのサイズに合わせて裁断します。
ハンカチの周囲にロックステッチ(縁かがり)をします。
一枚一枚丁寧に。最後の糸の始末に職人の技が光ります。
フェイラーのシールを貼って完成です。